海外の取引先に延滞が生じたとき、督促の回数を増やす前に、営業・経理・納品担当が「誰が、いくら、いつまでに支払う予定で、何が争点か」を同じ記録で把握することが大切です。本稿は初回相談や社内連携のための整理方法であり、債権の法的成立や回収結果を判断するものではありません。
1. 実際の取引当事者を確認する
契約上の買主、請求先、荷受人、実際の支払人を分け、正式名称、登記住所、確認できる登録情報を照合します。グループ名やブランド名が契約会社と同じとは限りません。関連会社が以前に支払った事実だけで、今回の支払責任まで確定することはできません。担当者名だけで債務者を判断しないようにします。
2. 請求書ごとに金額と支払期日の根拠を確認する
請求書ごとに原通貨の金額、合意した支払条件、期日、入金、確認済みの値引き・返品、未照合の差額を記録します。通貨別に集計し、元本と未確認の利息・費用を分けます。期日は社内予定日だけで計算せず、契約、注文、双方が確認した支払予定に戻って照合します。
3. 注文から延滞までを時系列にする
注文、確認、出荷、納品、検収、請求、期日、一部入金、最初の異議申立てを日付順に並べます。「D-03:受領記録」のように資料番号を付け、確認済みの事実、相手方の説明、社内の推測を区別します。出荷だけで検収完了とはせず、返信がないことを同意として記録しないようにします。
4. 資金面の事情と取引上の争点を分ける
未照合、品質・数量の異議、検収、支払承認、資金手当てなど、相手方が述べた理由を記録します。各項目に申出日、対象金額、根拠資料、未回答の質問を付けます。最初から悪意を決めつけたり、争点があるだけで債権を消し込んだりせず、権限のある担当者が今後の取引判断を確認します。
5. 原本を保管し、共有用の写しを作る
元のメールと添付、会話全体の文脈、支払通知、経理の入金記録を保存します。スクリーンショットは補助とし、切り抜いた画像だけで完全な記録を置き換えないようにします。資料索引には出所と取得日を記載します。外部への初期相談は不要な個人情報や銀行口座の詳細を伏せた概要から始め、完全な資料は合意した安全な経路で共有します。
6. 一枚の概要にまとめ、次の担当者を決める
概要には当事者、国・地域、通貨別未収金額、最も早い期日、資料の充足度、主な争点、直近の有効な連絡、次の対応と担当者を記載します。これは結論書ではなく、引継ぎ先が案件を把握する入口です。不足情報は「追加待ち」とし、見た目を整えるために事実を補作しないでください。
裁判・仲裁関係の書類を受け取った場合、倒産の可能性に関する情報を把握した場合、契約上の通知や保険申告の期限が関係する場合は、資料がすべて揃うまで待たず、適切な専門家に早めに確認を依頼してください。法域や契約で要件が異なるため、本稿は一律の期限や法的措置を提示しません。
Defender of Integrity(ブランド訳)